最近デジタルマーケティング界隈ではプログラマティックという言葉をよく耳にするのですが、具体的な定義としては

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インターネット広告 黎明期 ~2000年頃まで

インターネットがまだ世に出た頃は、広告も従来の雑誌広告のように広告代理店の担当者と、媒体社:Webサイトを運営する会社の広告担当者とが電話やメールなどでコミュニーションしながら1案件ずつ手動で設定したようです。インターネットという媒体でありながらも、その他媒体の広告の売買手法と同じように使われていたようです。

広告主 -> 広告代理店 -> 媒体社 -> ユーザー

アドネットワーク主流期 2000年代前半

2000年代前半になるとアドネットワークが登場するようになりました。これはインターネットの広告枠をまとめた事業者・サービスのことを指します。従来の雑誌や新聞をはじめとするメディアは創刊に多くの費用がかかったり、売り場面積に制限があることから、数に限りがあると思うのですがインターネットサイトには理論上は数に制限がありません。なので、サイトをはじめたいと思った人がいれば、常に新しいメディア・広告枠が生まれます。広告主・代理店が広告出稿しようと思っても、従来のように手動でサイトの担当者と個別にやりとりしていては、とても時間がかかってしましますし、広告の出稿も大変です。そこで、アドネットワークの出番です。広告主・広告代理店はアドネットワークに広告(クリエイティブ)と配信面を指定すると、アドネットワーク業者が指定したサイトに広告配信されるように手配してくれます。広告主・代理店はアドネットワークとやりとりすればいいので、とても楽になります。またサイトもあるセグメント、女性のユーザーが多いネットワーク、男性読者が多いネットワークなどある特定のジャンルでまとめられていましたので、この点からも非常に効率的であったと思われます。

広告主 -> 広告代理店 -> アドネットワーク -> 媒体社 -> ユーザー

アドエクスチェンジ主流期 2000年代 後半

2000年代後半になってくるとアドエクスチャンジというサービスが登場しはじめます。この頃になってくるとアドネットワークも、広告主・広告代理店に対して効率よく配信することで案件を集めてくるネットワークと、媒体に対して収益性の高い広告を集めるためのネットワークなどが登場しはじめます。そして、それらの両方のアドネットワークをシステム的につなぐアドエクスチェンジというサービスが登場します。イメージはネット証券のシステムがイメージしやすいかもしれません。広告取引も従来の手動ではなく、アルゴリズムによる自動広告取引が始まったのもこの時期です。アドエクスチェンジというサービスの登場で得られたメリットというのはスケールです。アドエクスチャンジには世界中のアドネットワークが参加していたので、日本にいながらアメリカの広告枠に配信できたり、アメリカの広告主が日本の広告枠に出稿したりすることもできるようになりました。

広告主 -> 広告代理店 -> アドネットワーク -> アドエクスチェンジ -> アドネットワーク -> 媒体社 -> ユーザー

DSP & SSP 主流期 2010 –

2010年以降になってくるとテクノロジーがさらに進化し、DSP(demand side platform)とSSP(サプライサイドプラットフォーム)が登場しはじめます。DSPはその名の通り、広告主に最適な広告配信をアルゴリズムによって自動化を目指しています。SSPは媒体の収益を最大化するために、単価の高い案件を自動で選択してきます。DSPとSSPの間では、オークションが行われます。SSPはオークション業者、DSPの入札業者のイメージで、SSPは複数のDSPとシステム接続しています。オークションはリアルタイムで行われます。リアルタイムというのは、ユーザーがあるサイトを開いてから、コンテンツが表示されるまでに約1,2秒ほどあるので、この時にシステムでSSPはこのユーザーに広告を出したい人はいるかと、DSPに問い合わせ、入札があった案件の中で最も高単価な広告をユーザーに表示します。この時にポイントとなるのはユーザデータです。DSPには多くのデータがあり、そのユーザーが化粧品を買いそうなのか、車に興味があるのか、予測していますので、その予測をベースに入札を行います。この頃にはデータの精度が広告の配信効率を左右する時代になっており、このデータを世界中で最も多く持っているのがGoogleでした

広告主 -> 広告代理店 -> DSP -> SSP -> 媒体社 -> ユーザー

プラットフォーム全盛期 2010年代後半 – 

2010年代後半になってくると、新たな潮流が見られるようになってきます。それは、DSP&SSPというようなテクノロジー専門のプレイヤーでなく、プラットフォーマーが広告市場を独占しはじめます。プラットフォーマーとは、GoogleやFacebook、Amazon、日本ではLineなどがイメージしやすいでしょうか。強力なプラットフォームを持っており、多くのユーザーを抱えているため広告媒体としても非常に強力なプレイヤーがそのまま広告配信プラットフォームも構築することで、今までにないレベルで効率よく広告配信が可能になります。その要因の主なものとしては、1.ユーザー数(PV)が多いことと、2. データが多いことがあげられると思います。

多くのユーザーが利用するプラットフォームは広告を表示する機会も多いです。なので、広告主としてはそのプラットフォームへの広告を出稿するだけ多くのユーザーにリーチできるというメリットがあります。またプラットフォームはユーザー数が多いため、非常に豊富なデータを持っています。そのデータを使って効率よく広告配信できます。なのでユーザー数が多いこと x データが多いことの掛け合わせで他社ができないレベルで広告配信を効率化しているのですね。

広告主 -> 広告代理店 -> プラットフォーム -> ユーザー

この商流を見てもわかるようにシンプルになってますね。これはプラットフォームが自社にDPS&SSPのような広告配信機能と媒体者を持ち合わせているためです。Googleは広告主・広告代理店にGoogle広告の広告配信機能を提供すると同時に、検索というサービスをユーザーに直接提供しています。Facebookも同様です。このように複数に企業が個別に提供していた機能を1社でまとめて持つことで、より高い収益を上げることができる。高い収益性を背景に、サービスに投資し、より多くの利便性をユーザーに提供し、結果より多くのユーザーを自社のサービスに集める。より多くのユーザーを集めることで、より多くのデータが集まる。なので、より効率的に広告配信できる。というような好循環をGoogleやFacebook、Amazonは作り出しているように思います。

インターネット広告の今後

GoogleやFacebookは広告を主な収益源にし、成長してきましたが、ここにきてAmazonが広告事業でも世界第3位になるなど、広告事業を主な収益としていなかったプラットフォーマーの広告事業参入が目立ちます。日本ではLineが広告事業を伸ばしていますし、ついこの配車サービスのUberが広告事業参入を表明しています。しばらくは、プラットフォーマーの広告事業参入が相次ぐ可能性が高そうです。