Googleが6/6にクラウドBiツールのLookerを買収したと発表しました。買収金額は26億ドルなので、ざっと2800億円ぐらいでしょうか。クラウド分析ツールなので、今後はGoogleのDataStudioのようにGoogleアカウントを持っていれば使うことができるようになるのでしょうか。

無料なのか、有料にするのか、選択肢はありますが、個人的にはGoogleのBigQueryに入れたデータをLookerで無料で分析できたりすると以前の記事でもご紹介したとおり、クラウドビジネスで先行するAmazonのAWSからGoolgeのGCPへの移行も加速するのではないかと思います。なんとなくですが、GoogleのことなのでLookerを有料でユーザーに提供するよりも無料にしてGCPのシェアを取りに行くのではないかと思ったりします。もちろん、個人的には無料でやってくれる方が嬉しいです。

そんなことを考えていると、本日Salesforceが分析ツールのTableauを$15.7billionドルで買収と発表されました。日本円では1.6兆円強でしょうか。途方もない金額です。Tableauは個人的にも使っていたことがあるのですが、実際に企業としてどれくらいの規模なのか把握していなかったので調べてみました。

89億円の営業赤字を計上している企業に1.6兆円も投じて買収するというのはすごい決断ですね。Saleforceはご存知のとおりSaasビジネスの本家のような存在で、営業系のツール以外にも最近はマーケティング領域に積極的に進出してきています。Datoramaという企業を買収したのも記憶に新しいところですが、Tableauまで買収するとは思いませんでした。

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SaleforceのTableau買収のメリット

Tableau買収のメリットとしてはSaleforceの製品ラインナップにBi分析ツールが入るということだと思います。Tableauと以前買収したDatoramaは似ていようで異なるツール。Datoramaはマーケティング領域に特化しており、マーケティングのデータを自動収集し、効果などをダッシュボードで管理することには優れていますが、それ以外のデータを取り込み自由に分析するには向いてません。というかできないかもしれません。

Tableauはすでに日本国内でも導入されている企業も多いのでご存知の方も多いと思いますが、基本的にはあらゆるデータを取込み、分析することが可能です。取り込む際のクレンジングなどはユーザー側で対応が必要ですが。個人的にはデータのビジュアライズツールという印象が強いですね。BI(ビジネスインテジェンす)と言うものの自動で何かを分析してサジェストしてくれるような機能はないので、あくまでもデータサイエンティストやプロダクトマネージャー、事業企画などある程度データ分析の知見とSQLなどに詳しい人が使うことでより真価を発揮するツールだと思います。RPGゲームで言うと高性能な武器って感じでしょうか。レベルの低い人が使ってもあまりメリットはでない印象です。統計やデータ分析の知見とSQL(知らなくても分析はできますが、深い分析はできないかも)を使いこなせる人にこそ、配布すべきツール。ライセンス料も高いのでメンバー全員に配るよりは、特定のスキルレベルの人に使ってもらって結果をみんなで共有するのが向いてそうです。

データ分析ツールの今後

GoogleとSaleforceによる買収によって一気にこの領域の覇権争いがはじまった印象ですが、現時点では日本国内ではTalbeauの顧客が多く、またLookerは本格的に日本展開していないことを考えると直近はTableauがSaleforceの後押しでシェアを一気に拡大しそうな気がします。

ただ長期的に考えると、Googleの出方次第ではありますが、Googleアカウントを持つ、(もしくはGCPでもよいのですが)ユーザーへのアプローチでGoogle一気にシェアを奪いそうな予感がします。ブラウザもGoogleは後発でしたが、今ではシェアNo1ですし、Googleは無料提供しシェアを一気に奪うことが上手な印象です。

またプロダクトという観点で考えてもLookerの操業が2016年のことを鑑みてもLookerはクラウドが前提のプロダクトですが、Tableauはデスクトップアプリケーションとして定着してきたという歴史があります。今後、Adobeなども含めてあらゆるツールはクラウド上で提供されてくるのがトレンドなので、Talbeauがどこまで短期間でプロダクトの方向性を変えることができるのかにかかってきそうです。

このデータ分析ツールの買収合戦ですが、個人的には買収額と今後の可能性を考慮するとGoogleの方が良い買収だったと言われることになるのではないかと思います。Googleのことなので、GCPに入れたデータをLookerでビジュアライズできて、さらにはそのデータを自社が提供する機械学習フレームワークで簡単にAIによる分析もできるようにするのだろうなと考えていくと、流行りGoogle陣営の方がワクワクします。Saleforceは流行りデータがあってお金もあるけど、自社で分析人材がいない企業に対してコンサルタントとセットでTableauを導入するようなエンタープライズビジネスをやるのでしょうか。今後の展開に注目です。