デジタルマーケティング、最近よく耳にする言葉ですがみなさんは明確に定義を説明できますか?
実は「デジタルマーケティング」という言葉は、インターネットもしくはデジテル技術を用いて行うマーケティングの総称で、明確な定義は決まっていないようです。一般的には、インターネット上のWebサイトへの広告配信やFacebookやTwitterなどのSNSを利用したマーケティング、メールを利用したマーケティングを指すことが多いようです。
これから就職を考えている学生さんや、デジタルマーケティングの仕事への転職を考えられている方は、しっかりデジタルマーケティングとは何か、どのような仕事があるのかを把握した上で、就職や転職を行うことで思い通りのキャリア形成や、就職先・転職先でのミスマッチを減らすことができる思います。
デジタルマーケティングに関わる人たち
広告主 : Advertiser
まずはデジタルマーケティングに関わる人たちについて考えていきたいと思います。デジタルマーケティングとはいえ、マーケティングですから基本的には自分たちや、自社の商品・プロダクト・サービスについて多くの人に知ってほしいと思っている人たちがいます。
この人たちは基本的には何らかのビジネスを行っていて、そのビジネスを成長させるためにマーケティングを行います。仮にあなたがパン屋さんを経営していて、もっと多くの人に自分のパン屋のことを知ってほしいと思っていたら、何らかの行動を起こすかもしれません。例えば、友達に宣伝したり、SNSに投稿したり、お店の窓にポスターを貼ったり、チラシ広告を広告代理店に依頼したり。これらは全てマーケティング活動と言えそうです。
デジタルマーケティングの世界でも同様で、このように自分のビジネスを多くの人に知ってもらうための活動を行う人たちを一般的に広告主(もしくはクライアント・得意先)と呼びます。
ユーザー : User
ユーザーとは広告主が自社やプロダクトのことを知ってほしいと思う人たちです。先ほどのパン屋の例では、実際にパンを購入するお客さんということになります。従来のマーケティング業界では、このようなお客さんのことをターゲットや、消費者、生活者などと呼ばれることが多かったのですが、デジタルマーケティングの世界ではユーザーと呼ばれることが多いです。これは主にインターネット企業で自社のサイトを見ている人たちをユーザーと呼んでいた背景があるのかもしれません。
媒体・メディア : media
一般的にユーザーが集まる場所や、広告が表示される場所を指すことが多いです。パン屋の例で、あなたが地元の掲示板やローカルのフリーペーパーに広告を出稿すればそれが媒体です。インターネットの場合は、GoogleやYahoo! JAPAN・LINEなどのウェブサイトが媒体として有名です。
広告代理店 : agency
広告代理店は一般的に広告主と媒体社の間で活躍します。パン屋の例では、あなたが地元の掲示板に自分でポスターを貼る場合は広告代理店の出番はありません。しかし、あなたのパン屋が繁盛し、複数の店舗を運用するようになったとして、複数の街の掲示板にポスターを貼りたいと思っても、コネがないので貼れないとします。そのような時に、広告代理店に相談します。彼らは普段から様々な広告主の案件を扱っていて、いろんな街の人を知っているのであなたに代わって、ある街の掲示板にあなたのパン屋のポスターを貼らせてもらえるように交渉してくれるかもしれません。それだけでなく、い忙しいあなたに代わって、ポスターの制作を行ってくれる場合もあります。広告代理店の役割は幅広いですが、デジタルマーケティングの世界でも同じです。基本的には、広告主と媒体をつなぐ存在として認識しておいてください。
他にもデジタルマーケティングの世界には様々な登場人物がいますが、まずはこの4者がもっとも基本的な登場人物なので、きっちり理解するようにしましょう。その他の登場人物については、その都度説明していきます。
デジタルマーケティングの世界のお金の流れ
それぞれの登場人物を確認したところで、次はお金の流れを見ていきたいと思います。
デジタルマーケティングの世界ではお金の流れはシンプルです。それは広告主から、媒体者に流れます。場合によって、広告代理店が間に入る場合と、入らない場合がありますが、基本はマーケティングをしたい人(広告主)が、手伝ってくれる人(媒体)にお金を払うという構図です。媒体社は、お金をもらう代わりに広告主のために多くの人に、広告主(もしくは商品)を周知してくれます。非常にシンプルですね。
後述しますが、実際にお金に支払い方法などは様々なパターンがあります。先ほどのパン屋の例では、掲示板にポスターを貼ったらお金を支払うケースもありますし、実際にポスターを見て来店したらお金を払うケースもあります。詳しいことは後述しますが、まずは大きなお金の流れを理解していただければと思います。
広告主のインターネット上でのビジネスを理解する
次は広告主のビジネスについて考えてみたいと思います。デジタルマーケティングは広告主が何らかのビジネス上の目的を達成するための手段の一つです。なので、広告主はインターネットで何らかのサイト(もしくはサービス)を展開しています。
例えばこちらのAppleのサイトではiPhone11を販売しようとしていますし、こちららのトヨタのサイトではトヨタの車種の仕様が確認できます。こちらのen転職のサイトではユーザーに対して無料登録を促しています。
これらの企業は全部デジタルマーケティングを行っていると言えますが、Appleは買ってほしい、トヨタは知ってほしい、en転職は登録してほしい、とそれぞれ目的が違うようです。
これらの目的に応じてデジタルマーケティングで行うことが代わることもあるので、広告主のビジネスについて理解することが大切です。
デジタルマーケティングの方法(チャネル)
次にどのような方法でデジタルマーケティングを行うのかについて考えていきます。たまにチャネルと呼ばれることもあるので覚えておいてください。
オウンドメディア
オウンドメディアとは、要は企業が運営しているサイトのことです。目的はユーザーに自社やプロダクトの魅力を伝えること、です。実際に広告費を投じる必要がないので、タダで宣伝できると思われる人もいますが、実際には記事(コンテンツ)を用意しなければいけませんし、サイトを運営する費用(サーバー代、他社サービスを使う場合はその費用)などかかってきます。またサイトはオープンしたら、勝手にユーザーが集まってくるわけではなく、ユーザーを呼び込む仕掛けなどが必要です。気軽にはじめれる反面、成功までには時間と労力が必要となるので、挫折する企業も多い印象です。詳細は後述します。
SNS運用
こちらは随分一般的になった印象があります。FacebookやLINE、Twitterの企業ページを開設されている企業も多いのではないかと思います。SNSページの開設は非常に簡単に、また費用も安いので多くの企業が運営しています。ただ、こちらも安定してユーザーに見てもらうにはコンテンツを用意する必要があります。広告費が不要なので、お得に思えますが、コンテンツを企画・用意する社員の人件費(または外注費)を考慮すると必ずしもお得でない場合もあります。詳細は後述します。
デジタル広告
デジタル広告には非常に多くの種類があるので、少し分類して考えます。
サーチ広告(検索連動広告)
まずはサーチ広告です。こちらはインターネットを利用したことがあれば、誰でも目にしたことがあるはずというぐらいメジャーな広告です。
Googleなどで検索した時に、ユーザーが入力したキーワードにマッチした広告を表示します。日本国内では、GoogleとYahooが検索のほぼ全てを占めていますので、実質的にサーチ広告を提供している企業はこの2社と考えて差し支えないです。ユーザーが検索した内容にマッチした広告が表示されるので、興味を持ってもらえる確率が高く、今日にデジタルマーケティングに置ける主力媒体と言えます。予算がない場合は、Googleのサーチ広告からスタートするケースが多いです。Googleは創業からたった20年で世界トップクラスの時価総額の企業になりましたが、その原動力がこのサーチ広告の発明と言っても過言ではなさそうです。
ディスプレイ広告
いわゆるバナー広告です。PCやスマートフォン、Webサイトやアプリまで様々な場所に表示できるディスプレイ広告はサーチ広告と並んでデジタル広告の主力です。ディスプレイ広告には様々な種類がありますので別途詳細を説明します。
動画広告
ディプレイ広告に比べ、動画のため音声含めユーザーに伝えられる情報量がとても多く近年注目されています。こちらも最近いろんな種類が登場していますが、大きく分けてYoutubeなどのコンテンツ再生前に広告が表示されるプリロールという種類と、記事の中にディスプレイと同じような広告枠に表示されるインバナー動画という種類に分類できます。こちらも詳細は後述します。
Eメールマーケティング
こちらは自社が保有するユーザー(顧客)のeメールに対してお得情報などを送信する手法です。(ちなみに最近Googleのgmailにはemailを指定して広告配信できるようになってきているのですが、それは別です)
このEメールマーケティングはすでに自社の商品を購入した人や、関心があるひと(emailを登録してくれているので)に対して周知できるので非常に強力なマーケティング手法です。またeメールを送信するだけなので、コストも抑えられます。ただし、弱点としてはすでに接点があるユーザーのみが対象なので、新規顧客獲得には向かないところです。これはどちらかというと広告主が自分で実施するタイプのマーケティング で広告代理店や媒体などは介在しないのが特徴です。
SEO
SEOもよく耳にする言葉です。Search Engine Optimizationの略で、要はGoogle検索の結果ページの上位に自社のサイト(もしくは記事)を表示させてユーザーを呼び込むためのテクニックです。これはどちらかというと前述したオウンドメディアへのユーザーの流入を増やすための施策の一つだったりするのですが、注目度も高く、デジタルマーケティングを考える際にデジタル広告やSNS運用と同じような粒度で出てくるワードでもあるので、記載しました。詳しいことは後述します。
インフルエンサーマーケティング
比較的新しいチャネルで、ここ2、3年注目度が上がっています。要は、TwitterやInstagramなどのSNSで多数のフォロワーがいる有名人に自社のプロダクトをアピールしてもらう手法です。デジタル広告などに比べると費用を抑えられるメリットもあるようです。ただ近年は、広告主からお金をもらって宣伝しているのに、あたかも自分のお気に入りというようなスタンスでTwitterなどで投稿する有名人の行動に避難が集まっています。ステルスマーケティングなどとも呼ばれ、炎上を招き、かえって企業イメージを損なうケースも見られ、実践するには緻密な戦略・計画とリスクを考慮する必要があります。
本章では、デジタルマーケティングの世界の概要や、登場人物、主な手法などを説明してきました。次章からは、各登場人物の役割や必要とされるスキルなどを交えて詳しく解説していきたいと思います。