今朝朝起きてYahoo!JapanとLineの統合というニュースが発表されました。驚いた方も多いのではないかと思います。インターネット上でのヤフーの存在感は大きく、ポータルサイトとしてだけでなく、最近はロハコのようなEC事業、公共事業の振り込みなどの決済事業など、主力の広告事業だけでなく、幅広く事業展開しています。Lineといえば、メッセージアプリとしては日本では圧倒的なシェアを誇り、近年ではデリバリー事業、LineWorksのようなビジネスツール、広告事業などこちらも幅広く展開しています。
なぜ今なのか
なぜ今統合なのか考えてみると、やはりペイ事業と言われる決済事業の影響が大きいのではないかと思います。近年は●●ペイと呼ばれるスマホ決済サービスが乱立しており、激しい値下げ(還元)競争が勃発しています。国内では思いつくだけで、ペイペイ(Softbank/YahooJapan)、メルペイ(メルカリ)、楽天ペイ、Lineペイなど有名IT企業がこぞってペイ事業を開始しています。ニュースなどを見ていると、ペイペイがSoftbankの豊富な資金源を武器に他社にはできない還元キャンペーンを展開し、大きくユーザー数という点ではリードしているようです。ペイペイのユーザー数は2000万人使いそうで、メルペイは400万人ほどらしいいので大きな差があります。
サービス名 | 2019年10月時点での想定ユーザー数 |
ペイペイ | 1900万人 |
楽天ペイ | 非公開 |
メルペイ | 500万人 |
Lineペイ | 3000万人 |
Lineペイは他社に先駆けてペイサービスを展開しており、ユーザー数では大きく先行していたのですが、ペイペイによる「2018年末の100億円あげちゃう」キャンペーンのインパクトは強烈で一気に差をつめた印象です。また同キャンペーン時に認知だけでなく、ペイペイを利用できる店舗数も増えており、とりわけインパクトが大きなと個人的に考えてるのは役所などでのPayPay利用ができるようなりはじめていることです。公共料金や役所関連は、人によって買ったり買わなかったりする商品とは違い、誰もが利用・支払いするのでそこを抑えるのは中長期にわたってペイペイユーザーを増やすことにつながると思われます。普段はLineペイ使ってるけど、公共料金の支払いのためにペイペイも使おう、って感じですかね。
さて、このYahoo!JapanとLineの経営統合ですが、当然その先にはLineペイとペイペイの統合も見据えていると考えられ、もし実現すると事実上国内勢としては圧倒的なポジションを確立することになると思います。おそらく、その他の事業者はシェアがものを言うこのWebサービス競争では生き残れないのではないでしょうか。楽天は楽天商圏というその他の楽天サービスとのシナジーがあるので、楽天ペイは残る可能性がありますが、どうなるでしょうか。
今回の統合の話は成功するかどうかは置いておいて、すごいダイナミックだなと思います。直近、Yahoo!JapanはアスクルやzozoといったEC領域のちょっとしたゴタゴタもあり、当面はEC事業のテコ入れに専念するのかと思いきや、今回の統合話です。YahooJapanが主導しているのか、ソフトバンクの思惑なのかはわかりませんが、とても動きが早いと感じました。
なぜそんなに急ぐのか
急ぐ理由はもしかしたら、海外勢の日本のペイ事業の本格参戦に備えているのかもしれません。このペイ事業は日本だけでなく、当然海外でも注目されており、IT業界の巨人と言われるApple、Google、Amazonがペイ事業を展開しています。またFacebookも今週ペイ事業への参入を表明しました。GAFAと呼ばれる世界のWebビジネスを席巻する4社が本格的に日本で事業展開する前に日本国内のユーザーをがっちり押さえておきたいと考えている可能性はあると思います。
Amazonペイ
Appleペイ
Googleペイ
Facebookペイ
日本政府による事情聴取は?GAFAだけが対象なのか
また最後にきになるのは先週、日本政府によるGAFAへの事情聴取など行われていますが、Yahoo!JapanとLIneが統合するのであれば日本国内ではGAFA級の存在感と独占レベルです。海外勢だけに牽制のための事情聴取を行い、日本勢にはやらないわけにはいかないかなと思います。この辺りもどうなるのか個人的には気になりますし、今後も注視していこうと思います。