6月30日、博報堂がCVC(コーポレイトベンチャーキャピタル)を設立することが発表されました。総額100億円のファンドになる模様です。またその少し前にも丸紅からもCVC設立することが発表されました。またその2ヶ月前には日立がCVCを設立することが発表されています。まさに史上空前の cvcブーム到来の気運です。
直近のCVC(コーポレイトベンチャーキャピタル)関連のニュース
7月1日 博報堂CVC(HAKUHODO DY FUTURE DESIGN FUND)設立。詳細はこちら
6月26日 丸紅CVC(丸紅ベンチャーズ)設立。詳細はこちら
6月1日 日立CVC(Hitachi Ventures GmbH)詳細はこちら
また新設ではありませんが、たった今出たニュースでSonyが2016年度に設立しているCVCの資金を200億円ほど増額するようです。詳細はこちら
なぜ企業はCVCを設立するのか
CVCとVCの違いは?
CVCとVCの違いとしては、VCは主にIPOやM&Aなどの投資先のExitによるキャピタルゲインが目的のようです。対して、CVCはもちろんExitによるキャピタルゲインも狙うのですが、既存事業とのシナジーや自社が保有していない知見の獲得なども投資を行う理由の一つにあるようです。
スタートアップにとってCVCから出資してもらうメリットは?
対して出資を受け入れるスタートアップ側の視点では、CVCから出資を受け入れる場合は大手企業からのサポートが得られることがメリットのようです。具体的には顧客紹介(販売チャネル)、技術協力など。もしかしたら何らかのプロダクトを開発している場合には顧客になってくれる可能性も高く、ソニーなどのような企業がユーザーとしてアピールすることができればスタートアップにとってはこの上ない宣伝材料になると考えられます。
CVCの方がスタートアップにとってメリットが大きい?
資金だけでなく、セールスやマーケティング、テクノロジーの面でシナジーというよりは初めは一方的なサポートが受けられる可能性が高いCVCの方がVCから出資されるよりもメリットが大きいように今のところ考えられますが実際のところはどうなのでしょうか。
日本国内においては個人的はそう思います。個人的にも複数の小さなベンチャー企業で働いていたこともあり、出資を受ける際に金額面以外でのメリットについて見ていくとやはり同額の出資であればCVCから出資を受ける判断を経営チームがしていたことが多いと感覚的に思います。両方からもらえばいいのではと、思われる方もいるかもしれませんが、出資を受けるということは株を渡すということで必要以上に出資を受けることは、会社の経営のコントールがしづらくなるということでもあるので、必要以上な出資は受けない経営陣も多いのです。
ただ海外においては少し事情が違うようです。特にアメリカなどでは自身としても起業家として大成功を納めた人たちがVCなどの幹部を占めることも多いようで、そういう人たちの経験をアドバイスとして得られるVCから出資をもらうことがスタートアップとしての箔を大きく向上させることにつながるようです。とはいえGoogleやFacebookから出資を受けることもすごい難易度が難しいこともあり、必ずしもVCとCVCのどちらが上という関係ではないのかもしれません。
CVCブームの先に何があるのか
近年、日本国内でブームのCVCですがまだ大成功を納めたという話はあまり耳にしておりません。日本国内でもっとも優れた事業投資会社は間違いなくソフトバンクだと思うのですが、まだそれに続くようなレベルの投資会社は出てきていないようです。Softbankのビジョンファンドはすでに海外でも非常に知名度が高く、出資先にも超有望企業が名を連ねます。
arm,slack,uber,grabなど各インダストリー、地域でとんでもないスピードで成長している企業が多くポートフォリオとしてはすでに成功が約束されているようなラインナップです。私が知らな企業も多いのですが、ここに入っているということはすごいのでしょう(笑)
ソフトバンク以外は圧倒的な存在感のあるCVCがまだ出てきていないのが現状で、ここに匹敵するようなポートフォリオを持つCVCが博報堂なのか、ソニーなのか、丸紅の中から出てくると面白いなと思います。