こちらの記事にありますようにCDNサービスのCloudflareが上場申請したようです。良い機会なのでCloudflareについて調べてみました。
CDNサービスとは
CDNとはContents Delivery Networkの略で、一言で言うとWeb上のコンテンツ(画像や動画など)を安定して配信するためのサービスです。AmazonS3のようなストレージサービスも画像や動画を保管するためのサービスではあるのですが、CDNの場合は安定して配信するというところに違いがあるかと思います。要はただのコンテンツの保管場所でなくて、ユーザーからリクエストがきたらすぐに返すための仕組みを構築しているところが違います。技術的いうと世界中にキャッシュサーバーを持っているので、ユーザーからもっとも近い位置にあるキャッシュサーバーからコンテンツを配信します。
CDNが使われているサービスとは
CDNはどのようなサービスでも使っても良いのですが、特にユーザーへのレスポンススピードがシビアな業界・サービスでは必須のサービスとなっています。例えば広告配信では、広告表示までに1秒もかかっていてはユーザーに見てもらえる確率が下がりますし、広告表示が遅れると、クリックもされにくくなるので死活問題です。なのでCDNが採用されています。日本のユーザーに広告表示するために、リクエストの度にアメリカのサーバーまで画像を取りにいくのはナンセンスですからね。
あとは、ECサイトでもCDNは使われているようです。当然、商品の画像表示が遅れるとそれだけで機会損失なので当然とも思えます。特に最近はスマホで商品購入されるケースも多いので、スマホはネットワークがPCなどに比べて弱いのではやりCDNを利用して表示速度を上げておくのは必須だと言えそうです。この辺りは、ソリューションアーキテクト、ITアーキテクトと呼ばれる職種の方では常識のようにも思えますが、ビジネス的な観点でどのようなアーキテクチャ・技術スタックが最適化を選択するのは意外に難しいのかもしれません。先日の7payの事件を見て、そう感じました。ITアーキテクトの人のスキルの問題というよりは、組織的・体制的な問題なのかもしれませんが。
CDNクラウドフレアの国内シェアは?
さて国内のCDNサービスのシェアですが、こちらのサイトによると下記のような状況のようです。Cloudflareはシェア高いですね。
以前はCDNサービスといえばAkamaiの独壇場のような時代があったと思うのですが、ここ数年で業界構造が大きく変わってしまったようです。CouldfrontはAmazonのAWSのサービスですね。以前の記事で、クラウドサービスについて調べましたが、GoogleのGCP、MicrosoftのAzureも頑張っているもののクラウドサービスとしてのAWSの強さはこの辺りにも表れているのかもしれません。コンピューティングやストレージだけでなく、CDNなどのニッチな領域でもトップクラスのシェアを奪っているところにAWSが選ばれる理由があるのかもしれません。要はAmazonであれば何をするにしてもAWSのサービスで完結するという意味で、設計する方としてはシンプルです。
Cloudflareの強みは?
さてCloudflareの強みとしては、フリーミアムモデルなので小規模サイトであれば無料で利用開始できるところにあります。なので、今は成長して大きくなっているスタートアップ企業も多く顧客の成長とともにCloudflareの成長してきたとも言えそうです。日本でも多くのスタートアップに利用されている印象があります。
Cloudflareの業績は?
上場申請したCloudflareですが、上場時点では赤字のようです。WeworkやUberなど最近赤字情報が増えてますね。シェアとしてはかなり高く、Amazonと2分するレベルまできているのですがもしかしたら、収益という点では老舗のAkamaiの方が高いようです。Akamaiは2-300億円ぐらいの営業利益出してたはず。これはAkamaiがCDNパイオニアであり多くの顧客、(特にエンタープライズ系)を抱えているからだと考えられます。お金使いますからね、エンタープライズ系の企業は。社内でにエンジニアをたくさん抱えるWeb企業と違って、Sierなどに外注している大企業がAkamaiを使っているイメージです。そういう会社は新しいサービスへの対応も遅れている気がします。低コストよりも安定が重要視されます。悪いことではなく、大きな問題があった場合に失うものが大きいのでそういう判断なのだと思います。スタートアップは失うものがないので、無料サービスでも問題ないのです。安く、早くプロダクトを作ることが大事なので。
Cloudflareの今後?
Cloudflareの今後としては、無料でサービスを提供していたスタートアップ企業の成長とともに業績を伸ばして、シェアも高めてきたものの、今後はやはりAkamaiなどの顧客をいかにして奪うことができるかという点につきそうです。上場して資金調達して、コンサルタントなどの部隊でも作るのかもしれないですね。はやり、エンタープライズ企業に食い込むためにはサポートの充実が必要なので、いいプロダクトあるから勝手に使ってよ、という感じではAkamaiからシェアを奪うのは難しいと思います。もしかしたら、全然違うCDN以外の領域に打って出る選択肢もあるかもしれないですし、ちょっと楽しみです。